往年のソープファンの嘆き

1970年代にトルコ風呂が出現し、それまで影の存在であった性風俗業界は、一躍市民権を得たと言っても過言ではありません。
一気に全国に飛び火し、徐々に「高級化」の一路をたどりました。
また、そこに通うお客は当時の好景気という社会背景もあってお金持ちが多く、いわゆる「遊び人」であり、またそうでなくともリッチマンに憧れる人が大半だったのです。

商売というものはお客のニーズによってサービスも変化しますので、こういったお客たちが多くいたことで、経営陣も迷うことなく店舗設備とサービスの傾向を、ゴージャスできらびやかにしていったのです。

そして時代は変わって現在、バブル自体を知らない若者が社会の中枢を担うようになり、ソープ店でもコンセプトと営業姿勢の軌道修正がなされています。

長くソープランドに通い続ける往年のファンの中には現在のソープランドの潮流に戸惑いや抵抗を少なからず感じられているようです。
その嘆きの声から現在のソープランドの特徴を推察してみましょう。

●コンパニオンが若すぎる
現在のソープ業界のひとつの特徴として、以前と比べるとコンパニオンがかなり若くなってきています。
よく「平成っ子」と言われますが、平成元年生まれの女の子でもすでに20代後半ですので、この呼名ももう古いといえるくらいの低年齢化です。

この若いコンパニオンの特徴としては「現実的でクール」というところでしょうか・・
酸いも甘いも噛み分けた大人の女性では決してありません。
しかし少し前の「ギャル文化」に代表される、常識ハズレな若者ではなく、見た目は清楚でありグレているわけでもなく、「至って普通」な女の子たちなのです。

こういった若いコンパニオンの登場で、昔の常識であった「ソープ嬢はぽっちゃりしたおばさん」というのは過去のものとなりました。
しかし夜遊びの経験もほとんどないような若いコンパニオンは、大人の色艶を理解していませんし、身につけてもいません。
ウィットに富んだ言葉の駆け引きもありませんから、往年のソープファンは物足りなさを感じるのです。

●ソープテクがない
ソープランドは特異なテクニックの数々で男性を魅了してきました。
スケベイス、泡踊り、壺洗い、潜望鏡、全身リップ、などがよく知られてます。

昔はどのソープランドでもこれらは標準サービスとしてありましたが、現在はあまり見られなくなりました。
これは一概に「コンパニオンのテクニックが無くなった」とは言い切れず、最初から仕込まれていないことも多く、経営者の方針で完全に排除されている店舗も増えているのです。

理由としては、一時期ピンサロやファッションヘルス、エステなどが台頭し、ソープ業界の客入りが激減したことが関係しています。
この時期くらいから、お客の方でも価値観に変化があり、ソープランド特有のプレイ全般に古さを感じ始めたのです。
不必要なサービスを排除していくのは当然であり、それが現在のサービスの傾向につながっているようです。

●高級感を感じられなくなった
これには2つ理由があります。
ひとつは低価格な大衆店や格安店が増えたこと、そしてもう一つは客層の変貌です。
サービス料が下がるのですから、それまで高くて登楼できなかった層の若者などが押し寄せるようになったのです。

「高級感」を感じるひとつの要因に「俺は高額な遊びをしている」という優越感があります。
お金のないものはピンサロなどの低価格風俗で、お金持ちはソープランド・・という図式が崩壊しているのです。
これによって往年のソープランドファンは差別化による優越感を感じられなくなったのです。

車に例えると、仕事をがんばって出世し、レクサスやベンツを買ったのに、貧乏な人がみな同じ車を乗り出してしまったら優越感は感じられない・・・といったことと同様です。

●マニアックさが失われた
昔のソープランドは「通」「マニア」「常連」が美味しい思いをする経営姿勢でした。
料金でさえ不明瞭であり、交渉術を心得た人でないとふっかけられたり、地雷嬢をつけられたりしていたのです。

ソープ通いの経験を積んだ強者たちはこれらを回避する術を身につけ、その実力によって良いサービスを獲得していたのです。

しかし今やソープランドは明瞭会計であり、ホームページに記された料金は誰でも知ることができます。
そしてそれ以上の値引きはほとんどありません。
それどころか、変に交渉を仕掛けてくるお客に関しては疎ましくさえ感じ、最悪な場合は単なる「クレーマー」「要注意人物」とさえとらえられてしまうのです。

これはソープ業界が大きく変貌したための特徴であり、アンダーグラウンド性を排除し、より広く門戸を広げた結果だといえます。
今ではソープ未経験者でも簡単に多くの情報が手に入り、不安や恐怖感を感じなくても登楼することができるようになったのです。

どの時代のどの業界も時代背景を理由に変遷していくものです。
往年のファンたちには一抹の寂しさを感じるでしょうが、決してデメリットばかりが増えたのではありません。
古くからのファンの嘆きは、逆に初心者たちのメリットでもあるのです。